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婦人科疾患

子宮頸がん

日本人の子宮がんの中で、子宮頸がんは子宮の入り口周辺(子宮頚部)にできるがんです。

子宮体がんを含めた子宮がん全体の中で、今でも日本人に罹患率(病気になる頻度)が高いものですが、早期発見が可能ながんの一つです。

早期の検診をおすすめしております。

健康診断の発達により、がんになる以前に診断が可能となりました。

定期的な子宮がん検診(細胞診)を受けていれば異形成の状態(がんになる前の状態)での診断が可能です。

検診は簡単で時間もかからず痛みもありません。

子宮頸がんの症状は、進行している場合は生理(月経)時以外の出血(不正出血)が多く、性交時の出血が特徴です。

早期のがんは、症状がほとんどなく検診で前がん状態の段階で診断を受ければ簡単な治療または無治療で済みます。

異形成である前がん状態が発見されてもすべての方が、すぐに治療対象となるわけではありません。

異形成は自然治癒することもありますので、程度の軽いものなら適切かつ定期的な管理のもとで、病気の悪化がないかを観察するだけでよい場合が多いのです。

早期の検診をおすすめしております。

ヒトパピローマ・ウイルス(HPV)との関連

子宮頸がんや子宮頚部異形成の多くは、ヒトパピローマ・ウイルス(HPV)の感染によって起こることが知られております。

現在、発症はしていなくてもHPVの感染状態にあるかどうかの検査も簡便にできるようになりました。

そのため、より詳しい検診として、細胞診に加えてHPVが陽性か陰性かを考慮した検診も、最近可能となってきました。

子宮頸がん検診は、安全で比較的簡単な検査で精度も高く、短時間で行えるために定期的に受けられることをおすすめいたします。

HPVの多くは、性交渉によって感染いたします。

そのため最近は、性交開始年齢が若くなっていることや性交渉のパートナーが複数存在することが増えているため、子宮頸がんが若い女性にも増加しております。(若年子宮頸がん)

ヒトパピローマ・ウイルス(HPV)との関連

HPV感染は自然治癒することもあり、適切な管理の下に検診を受けていれば心配することはありません。

したがって、一度子宮がん検診の異常が見られ精密検査を受けられた方は、自治体の健康診断としての子宮がん検診を受けるよりも、病院での定期的な子宮がん検診が望ましいと思われます。

※当院は子宮頸がん精密医療機関に登録されているため、細胞診・HPVのウイルス検査・精密検査や定期検診に必要なコルポスコピー検査・精密検査の組織診断を行っております。

ヒトパピローマ・ウイルス(HPV)との関連

ヒトパピローマ・ウイルス(HPV)タイピング検査

子宮頚部異型性などの組織診での確定診断後に、外来で経過観察をされておられる患者様に対しては、ある一定期間の観察期間を経て異型性の改善がなければHPVのタイピング検査を実施しております。これはHPVの中でも、子宮頸がんのハイリスクになるウイルスのタイプを患者様自身が現在持っておられるかを詳しく調べる検査です。

その結果により経過観察中病気の改善状況がない場合は治療をおすすめする場合があります。

ヒトパピローマ・ウイルス(HPV)ワクチン接種

一時副作用が話題となり、一定期間日本ではこのワクチンをほとんど接種される方がおられませんでしたが、現在ではこのワクチン特有の副反応は日本でもWHOでも証明されておらず、他のワクチンなどと共通の精神・身体的反応と考えられております。

日本でも再検討の結果政府は勧奨との方針と発表し、各自治体にも通知が届いております。

世界の中の先進国では日本のみがHPVワクチン接種が明らかに遅れており、産婦人科全体としては強く接種を進めております。

原則としては高校1年までは公費で接種できることとなっており、過去の未接種の人たちを対象に公費化が進んでおりますが、未だ自治体により対応が異なりますのでお住まいの自治体に問い合わせてみてください。

対象年齢を明らかに越しておられる方(30代等)でも自費で接種される方もおられます。

ワクチンの予防効果は世界的に証明されておりますが、もう一つ重要なことは必ず子宮頸がん検診を受けることです。

ワクチンは、すべてのタイプの子宮頸がんを予防するものではなく、子宮頸がん検診(細胞診)を合わせて受けることで、子宮頸がんはこの世から根絶できるとまで言われております。

したがって性体験がある女性はワクチンに加えて産婦人科受診での子宮頸がん検診をおすすめします。